



今回のアレはこれなんです。
梶原一騎原作 原田久仁信作画
″一騎人生劇場 男の星座(おとこのせいざ)″『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)
今回は梶原一騎の自伝マンガの書評となります。
ではさっそくご紹介していきたいと思います。
梶原一騎とは?
梶原一騎本名高森 朝雄。
1936年9月4日東京市浅草区にて生まれ弟は漫画原作者、空手家の真樹日佐夫(故人)。
弟の真樹日佐夫はこの男の星座の中でも登場してきます。
梶原一騎は作家として主に格闘技やスポーツを題材にして男の闘う姿を豪快に、ときには繊細に描き出し、話題作を次々と生み出していきました。
1953年、ボクシング小説「勝利のかげに」を雑誌『少年画報』に応募して見事入選を果たし、17歳の少年小説家「梶原一騎」が誕生。
また東京中日スポーツで『力道山物語』を連載し、好評を得たことから力道山から直々に電話をもらい、力道山と親密な関係となる。
1962年にはプロレス漫画『チャンピオン太』(画・吉田竜夫)の連載を原作者として連載開始。
1966年になると野球漫画『巨人の星』(画:川崎のぼる)の連載を開始し人気爆発。
1968年にはテレビアニメとなり、視聴率30%を超える空前の大ヒットとなります。
その以降も、
『柔道一直線』
『夕やけ番長』
『あしたのジョー』
『タイガーマスク』
『赤き血のイレブン』
『キックの鬼』
『空手バカ一代』
『侍ジャイアンツ』
『愛と誠』
などヒット作を量産していき時代のブームを牽引。
マンガの原作以外にも映画、アントニオ猪木の格闘技世界一決定戦、アニメの世界からプロレスのリングへタイガーマスクを誕生させ様々なプロデュースも。
そんな矢先にアントニオ猪木への監禁事件やクラブホステスへの暴行未遂事件、その他恐喝などをスキャンダルを頻繁に起こし警察へ逮捕され世間からはタブー人物となっていきます。
2か月に及ぶ勾留後に保釈後8月8日食事の最中に倒れ病院へ担ぎ込まれてしまいます。
病名は死亡率が100%に近い壊死性劇症膵臓炎。
手術を4回重ね、4度目の時に医師団から「あと2時間の命」とまで宣告されたが長年培ってきた体力等から生還を果たす。
しかしこの時87キロあった体重も60キロを割ることに。
1985年3月14日、先の逮捕からの東京地裁刑事第二十八部で、懲役2年、執行猶予3年(求刑は懲役2年)の有罪判決を受ける。
これまでの実績を捨て新たに小説家としてのスタートを切る為に最後のマンガでの引退作品男の星座を開始。
しかし1987年年明けに体調不良となり入院。
1月21日、東京女子医大病棟一室にて死去。
享年50歳。
天才は自分が描いてきたヒーローのように悲劇的に亡くなっていってしまいました。
男の星座を描くきっかけは?
先ほどにも書いてありますが、小説家への移行の区切りで自伝の引退作品を始めたそうです。

この本の中では梶原一騎自身が実名ではなく「梶一太」と名をつけていますが、自身の青春遍歴を赤裸々に描きたかったのでしょう。
これまで見られなかったほどの飄々たるユーモアも漂わせながらライフワーク的な作品となるはずだったみたいですね。
この当時はこれまで華やかだった主だった出版社、芸能界、スポーツ界などとの交流もなくなっています。
気持ちの安らげるものの場所がこの作品を描くことだったのかもしれませんね。
男の星座を読んだ感想は?
男の星座のスタートは力道山対木村政彦。
そして試合が終わりリングへ上がっていこうする大山倍達。
その光景を夢中になり観ているのが梶原一騎。
物語が本当の現実で起こっている。
のちにこの本の内容と被ってくる本が登場し、男の星座はノンフィクションだったのではないかという話も出ています。
その本とは
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
この本で作者の増田俊也さんは長年取材を進め、梶原一騎が描いた世界を検証していきました。

その通りです。
男の星座で書ききれなかったことを増田さんは追記してくれました。
そのほかにも力道山と岸恵子との恋の話や自身の浅草ストリッパーとの恋など梶原一騎でなければこのような表現は出来ないであろうと感じさせてくれます。
梶原の引退作として「一騎人生劇場」の副題通り、主人公に自分自身を据えた本格的自伝漫画であるが、梶原の死去により未完で終わっている。
ちなみにこのストリッパー八神カオルは実際に居た人物なのかを調べてみましたが、有力な情報は出てきませんでした。
あと殺しの柳川と恐れられていた柳川次郎と極真会館故大山倍達氏との関係。
文だけ見ると暴露話のように聞こえますが、ストーリーがしっかりと出来上がっています。
大山館長との出会いからお付き合いまで重要的に書かれていますが、別れの部分に突入する前にこの物語は未完で終わりを告げました。
あえて未完で良かったのではないかと私は思います。
そのおかげで梶原一騎の世界を失わないで済んだのではないかと思います。
最後に
梶原一騎の亡くなる前に病室には辞世の句が残されています。
【吾が命 珠の如くに慈しみ 天命尽くば 珠と砕けん】
『男の星座』は未完に終わりましたがまだ梶原作品は永遠と残っていきます。
この本への愛情を持ちご紹介を終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。