政治家として大阪府知事ならびに大阪市長も歴任し日本維新の会では作者と一緒に共同代表にもなった橋下徹も政治理論を認めた元東京都知事石原慎太郎氏が歴代内閣総理大臣の中で最もインパクトと実績を残した田中角栄元総理の気持ちを代弁し人生を振り返る本を出版しています。
その本の題名は
″天才″ (幻冬舎)
本作は石原慎太郎氏が田中角栄自身になりきり一人称での人生振り返りとして発表され、発売当初からベストセラーの仲間入りをしている本です。
田中角栄本はこれまで沢山出版されていますが、その中でも最も話題になった本の一つと言える石原慎太郎氏が書いた″天才″。
これからこれまでの二人や本を読んだ感想などをご紹介していきたいと思います。
田中角栄と石原慎太郎の関係は
ここでは石原慎太郎氏と田中角栄元総理の関係性をご紹介していきましょう。
石原慎太郎氏は元東京都知事として有名ですが、参議議員、衆議議員にもなっており作家だけではなく政治家としても活躍をされていました。
また俳優の石原裕次郎さんとは実の兄弟で、裕次郎さんを題材にされた作品も出版されています。
政治家を引退し、作家としての集大成となる本作を執筆しました。
石原慎太郎氏と田中角栄元総理大臣の関係といえば同じ自民党に所属をしながらも決して良い関係ではなかったことは有名な話。
1972年当時の田中角栄総理大臣は中国との国交正常化を成し遂げた年ですが、若手議員の一人石原慎太郎氏は正常化に対し猛反対。新たに派閥を立ち上げたり、中国との関係を重視する角栄の政策を強烈に批判しています。
また秘書との愛人問題などにも批判をし、当時の田中批判火付け役とも言われています。
そんな石原慎太郎氏がなぜ今になり田中角栄元総理のことを執筆したのか?
過去石原氏が東京都知事選挙へ出馬する際に田中角栄元総理に面会した際、手厚い対応をしてもらっています。
若い時には誰にでもあることですが、綺麗事でしか許せないところがあります。
石原慎太郎氏も田中角栄元総理の人間味溢れる気持ちが歳を重ねていく事で、徐々に感情が変わっていっていき人間性を認めていけるようになったのではないかと思いますね。
「天才」を読んでみた感想は
過去に田中角栄本を沢山読んできましたが、一人称で田中角栄本人になりその時の時事問題を語る本を執筆することに読んでいて衝撃でした。
そんなことが出来るのも、かつて嫌いだった人物で人気者の座から追い込んでいった者だからこそ気持ちを入れ執筆できたのではないかと思います。
昭和40年後半は日本国民みんなが夢と希望を持っていた時代です。
日本列島改造論を日本国民に発表し、田中角栄がどのように実現しようかと考えていたのかが年齢を重ねて石原慎太郎氏も深く分かってきたのでしょうか。
都知事になった石原慎太郎さんも実行力が発揮されてきました。
まさに田中角栄のおこなった実行力と重なるところもあり、この出版に対しての気持ちもこの時にや義ったのではないのかと感じています。
また自派閥のたちへの思い、自分の家族への考え、金権政治と言われたことに対する気持ちなど事細かく書かれていて石原慎太郎に本当に田中角栄が乗り移ったのか?と思ってしまうことがたびたび。
誰にでも好かれるだけの器量を持った男だけに当時は歯がゆくもあり、やっかみもあったのではないかと思います。
そんな恩讐を超えた二人だからこそできた天才の共著と言えるでしょう。
最後に
田中角栄元総理について、ジャーナリストの田原総一朗さんとの対談で石原慎太郎氏はこう語ってます。
⌈角さんっていうのは超インテリだよ、『六法全書』を暗記しちゃったんだから⌋
⌈田中角栄は法律を議員立法で33もつくった。これもすごいね。⌋
学歴だけが決して偉いんではないということを立証し内閣総理大臣まで歴任した田中角栄元総理。
苦労人からのスタート人生から終焉を迎える角栄劇場までを思いを込めて書き上げた石原慎太郎氏。
二人の天才が時間を経て混じり合い出来上がった作品。
この本を読んで昭和の歴史をもう一度振り返ることもたまにはいいのではないでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。